岡山県備前市に1,000年の歴史を持つ備前焼。三石窯が手掛けた本製品は、廃棄される備前焼を原料の一部として活用した再生備前シリーズのプロダクトです。釉薬を一切使わず高温で焼き締める備前焼ならではの、飾らない土の魅力と、個体ごとに異なる素朴な素材感が特徴です。使い込むほどに器肌の風合いが育っていく過程も楽しみの一つです。
力強いブラックと土本来の生成り色が際立つホワイトの2色で展開し、稲藁を巻きつけて焼成することで生まれる備前焼の代表的な模様「緋襷（ひだすき）」が特徴です。特にブラックでは、強い還元焼成によって素地が黒く締まる一方、藁の成分との化学反応が穏やかになり、ベージュ調の線となって現れ、黒い素地に鮮やかなコントラストを生み出しています。
日本の伝統と、持続可能性への配慮が融合した一品です。

備前焼（びぜんやき）とは

備前焼は、岡山県備前市を中心に生産される、千年の歴史を持つ日本の伝統工芸品です。瀬戸、常滑などと並ぶ「日本六古窯」の中で最も古い焼き物の一つとされています。最大の特徴は、釉薬を一切使用せず、絵付けもせずに、約1200〜1300度の高温で長期間焼き締める製法（焼き締め陶）です。これにより、土が持つ素朴なぬくもりと、堅牢で割れにくい強度が生まれます。また、焼成時の窯の中での火の流れや松割木の灰、窯への詰め方などの影響によって、一つとして同じものがない「窯変（ようへん）」と呼ばれる自然な模様が生み出されることも大きな魅力です。緋襷（ひだすき）、胡麻（ごま）、桟切り（さんぎり）など多彩な窯変があり、使えば使うほどに味わいが増すのも備前焼の特徴です。

「生涯を添い遂げるマグ」について

日本各地の窯元（職人）がそれぞれの土地の素材を使って同一デザインで製作しています。シンプルながらも飽きの来ない共通デザインでつくることで、窯元の個性と地域ごとの特色が際立ちます。

コーヒー本来の美味しさに気づく仕掛け

「生涯を添い遂げるマグ」のデザインは、カップ内側の側面の角度とボトムの丸みによって、コーヒーを注いだ時に対流を生み出します。この対流によって良質なクレマ（エスプレッソの液面に浮かぶキメ細かい泡）が作り出され、香りと温かさを閉じ込めることで、コーヒーの美味しさを最後まで感じられます。